東京発電

『公研』2024年1月号「ひろば」 どうしてまたゴルフ場に足が向くのか？ 以下の文章は、ゴルフをやる人、やろうと思っている人向けの勝手な言い訳めいた分析である。 ストレスフリーな人生はないものと思っている。仕事をしていても、自分の家にいてもいろいろとある。それじゃ、何もしなければいいのかというと、どうだろう。高校卒業の時に遡るが、英語の教師に最後の授業で言われたのが、「大学に入るまで時間がたっぷりあるから何にもしない日々を過ごしてみろ、どんなにつらいかわかるから」。確かにそうだった。最初のうちは気楽なもので何もないことを楽しめても、だんだんと何もやることのない状況が嫌になり、そこから脱却したくなった。 アウトコース１番スタートホール。ドライバーから放つ第一打を思いっきり飛ばしたい！ でもきっと曲げたりダフリやトップも、そうしたことが脳裏にチラチラする。自分の打順が来て、「よろしくお願いします」との発声後の一振りは、期待といろんな心配をすし詰めにしたようなスイングとなる。私の場合結果の多くはやっぱり駄目だったかとなるのだが、時にはナイスショットと言ってもらえる球も打つ。この時に思う〝やったぜ！〟心配とともに感じていたストレスは雲一つない青空のように晴れ晴れ消え去り、一方で達成感や満足感が溢れる瞬間となる。こうした心の抑揚の波が断続的に１日中押し寄せることを楽しむスポーツとも言えると思う。 サラリーマンをしていると、あれやらなきゃ、これやらなきゃとの思いが、心から抜けないことも多い。ゴルフは、ストレスで硬くなった心に作用し、抑揚の波の連続で硬い心をほぐし続けてくれるのだ。プレー中は、仕事で抱えていたことは完全に忘れているというか、思い出すことのない時間と空間が確保される。無邪気にドラコンだ、ニアピンだ、スコアだと楽しんでいる自分がそこにいる。ほかにも楽しいことがある中で、ゴルフがサラリーマンにうける所以がそこにあるというのが私なりの分析だ。簡単に言うと、リフレッシュにもってこいなのである。 むすびに。ご存じの方も多いと思うが、自分なりに発見したアイテムを一つ。暖かい時期のプレー中、スタンスに入った瞬間、虫が気になりスタンスを取り直すなどのことを経験することが間々あるが、昨夏オニヤンマによく似た模型を帽子に着けていたら、虫に邪魔されることがほぼなかった。オニヤンマは、蚊やブヨはもちろんスズメバチさえ捕食する。要するにそうした虫たちの天敵なのだ。近寄って来た虫を人が手で追い払うまでもなく、虫のほうから逃げていくという算段だ。もちろん１００％の効果があるとは言えないが、その効用を少なくとも私は体感した。虫が出だす頃のご参考に。 東京発電 取締役 人財開発室長

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