関西電力 – 公益産業研究調査会／koken

『公研』2024年2月号「PR」 関西電力グループは、持続可能な社会の実現に向け「ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー」として、安全確保を前提に安定供給を果たすべくエネルギー自給率向上に努めるとともに、地球温暖化を防止するため発電事業をはじめとする事業活動に伴うＣＯ２排出を２０５０年までに全体としてゼロとする「ゼロカーボンビジョン２０５０」を宣言した。ゼロカーボンロードマップは、このビジョンを実現するための道筋を定めたものである（図１）。 ２０５０年のエネルギーシステム 関西電力グループは、３Ｄ（脱炭素化・分散化・デジタル化）＋Ｄ（電化）が劇的に進展しており、デマンドサイドのエネルギー利用は「電気」と「水素」に集約されていくとともに、エネルギーシステムは分散化・多様化する、と見ている。サプライサイドのエネルギー供給はゼロカーボン化される一方で、エネルギー利用者自身がプロシューマー（自身で発電した電気を消費し、余剰分は売電する生産消費者）化してエネルギー供給も行うなどデマンドサイドの役割が拡大している（図２）。 デマンドサイドでは、エネルギー利用者自身が、太陽光等の分散型再エネ、蓄電池、ｅモビリティ等を所有・使用することにより、エネルギーの利用形態と取引種類が多様化している。自立分散型システム（マイクログリッド、オフグリッド）等、それぞれの地域に適切な系統が普及。利用されるエネルギーは電気と水素に集約している。 サプライサイドでは、非化石電源（再エネ、原子力）は、技術開発・革新、運用の高度化等により最大限導入・活用する。火力はゼロカーボン燃料（水素、・アンモニア等）を使用した発電へ移行するとともに、排ガスからＣＯ２を回収し有効利用または地中等に貯留するＣＣＵＳ技術を適用。水素製造においては、エネルギー源として非化石エネルギー（再エネ、原子力）を活用する。 顧客や社会との連携 ２０３０年度に向けて、まずは関西電力グループの発電によるＣＯ２排出量削減を着実に進める。これを土台として、顧客や社会の人々のＣＯ２排出量削減に貢献する。これを達成するためにも送配電事業では電力ネットワークのレジリエンス（強靱性・回復力）強化と次世代化に取り組む。 具体的には、顧客に届ける電気の排出係数をトップランナー水準にして、各種サービス提供を通じて顧客や社会の人々のＣＯ２排出量を７００万トン以上削減する（関西エリアの削減想定量の３割に相当）。関西電力グループが自ら取り組むこととしては、発電による排出について２０２５年度時点で半減（２０１３年度比２５００万トン以上の削減）。以降、削減率トップランナー水準を実現する。また、保有する社有車（グループ全体で５０００台超）をすべて電動化する（電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車を含む。特殊車両を除く）。 「省エネ」「電化」「創エネ（蓄エネ）」「オフセット」に顧客や社会の人々とともに取り組み、２０３０年度までに７００万トン以上のＣＯ２排出量削減実現をめざす。具体的には、省エネ機器の導入、最適制御によりエネルギー消費量を減らす。化石燃料機器からＣＯ２排出の少ない電気機器に置き換える。使用する電力を自ら創る。ＣＯ２フリーの電気メニューに置き換える──ことに取り組む（図３）。 業務・産業分野では、ゼロカーボンの実現に向けた計画策定から具体的な実行に至るまでの様々なサービスを、顧客の実態に応じてカスタマイズしたソリューション（ゼロカーボンパッケージ）として提供、顧客とともにＣＯ２排出量削減を実現する。 運輸分野では、車両導入と併せた充電やエネルギーマネジメントサービス等をワンパッケージで提供することにより、顧客とともにＣＯ２排出量削減を実現する。また、ＥＶ船（電気推進船）や空飛ぶクルマ等の導入をサポートしていくことにより、陸・海・空におけるモビリティ分野の電動化を推進し、ゼロカーボン社会の実現に貢献する。 コミュニティ分野では、様々な地域課題（地域活性化・レジリエンス向上など）も踏まえつつ、自治体やディベロッパーなどと連携し、関西電力グループの様々なソリューションや新技術を組み合わせた幅広いサービス提供を通じ、ゼロカーボン社会の実現に貢献する。 自ら取り組むこと 関西電力グループは、「再生可能エネルギー（再エネ）」「原子力」「ゼロカーボン火力」「水素」の各分野で、ゼロカーボンに向けた取り組みに挑戦する。 原子力の安全安定運転を継続し、発電によるＣＯ２排出量を２０２５年度に半減。２０３０年度に向けて、原子力・再エネを中心に、さらなる削減深掘りに取り組み、削減率でトップランナー水準をめざす。 ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニーとして、再エネでは開発ポテンシャルの大きい洋上風力を中心に、開発体制を強化した上で、積極果敢に開発に取り組んでいく。開発目標として、２０４０年までに国内で１兆円規模の投資を行い、新規開発５００万ｋＷ、累計９００万ｋＷ規模をめざす。 原子力は安全最優先を前提に、原子力の最大活用に向けて取り組んでいく。足元は、原子力発電所の再稼働および運用高度化を図りつつ、新増設・リプレース（次世代軽水炉・ＳＭＲ・高温ガス炉等）の実現に向けた検討を進めるとともに、水素製造への活用により、原子力のさらなる可能性の拡大をめざす。 ゼロカーボン火力では、ＬＮＧについては既存発電所の改造やリプレースなど、２０３０年頃のゼロカーボン燃料混焼に向けた検討を進め、２０５０年までには専焼化をめざす。石炭火力については、２０３０年頃のゼロカーボン燃料混焼実現に向けた検討を進めるとともに、ＣＣＵＳ（排ガスからＣＯ２を回収し有効利用または地中等に貯留する技術）の技術評価を加速し、将来の導入に向けた検討へ進める。 水素では、ゼロカーボン燃料調達について幅広く事業性評価や実証等に関与し、水素サプライチェーン構築の準備を進めていく。海外調達については、２０２５年頃から徐々に調達を拡大し、２０３０年頃を目途に安価な水素の本格調達をめざす。ゼロカーボン火力への活用、水素の国内製造の取り組みを進めるとともに、運輸・産業分野の顧客向けに２０２５年頃から徐々に販売を行い、２０３０年以降を目途に事業拡大をめざす。 送配電事業については、電力ネットワークは発電所と顧客など多様な系統利用者をつなぐ役割を果たし、ゼロカーボンの実現に必要不可欠な設備であり、２０２３年度から導入した新たな託送料金制度の狙いである再エネ主力電源化やレジリエンス強化等のため、設備の確実な増強・更新により、安定供給に努めていく。再エネを活かすための連系線・基幹系統の整備強化、連系運用の広域化や送配電事業におけるあらゆる機会での脱炭素化により、環境負担低減に取り組んでいく。 蓄電池やＥＶ（電気自動車）を活用したＶＰＰ（仮想発電所）の構築等による系統制御技術の高度化や分散型グリッドの適用などにより、ゼロカーボン化の基盤となる電力ネットワークの次世代化を進める。 ☆ 関西電力グループは、同社自身のゼロカーボン化はもちろん、社会全体のゼロカーボン化にも取り組んでいく。そのために、顧客や事業パートナー、自治体などあらゆるステークホルダーと力を合わせて進んでいきたいと考えている。その思いを、「みんなでアクション すすめ、ゼロカーボン」の言葉に込めて２０５０年ゼロカーボンに向けたロードマップを策定した。

「みんなでアクション すすめ、ゼロカーボン」 ２０５０年に向けたゼロカーボンを宣言【関西電力】

「みんなでアクション　すすめ、ゼロカーボン」２０５０年に向けたゼロカーボンを宣言【関西電力】